恕のたより vol.28
学校長通信「恕のたより」-第28号- 学校長 高野 茂
今年も、本学の一年生の書いた文が「熊本日日新聞」の「読者の広場」の若者コーナーに掲載されました。以下、要約文を紹介します。
永石麗乃さん(作業療法学科1年)「面倒なことに率先取り組む」
散歩に出かけ、多くの人と出会った中で、気になる人がいた。その方はレジ袋を片手に落ちているゴミを拾いながら歩いていた。その様子を見ていて今までの自分を恥ずかしいと感じた。そして、私はあることに気付いた。人が見て見ぬふりをすることや面倒に思うことを率先してやってくれる人がいるおかげで、快適な日々を過ごせているのだ。感謝しなければならないと思った。同時に自分自身もそんな存在になりたいと強く思った。誰もが面倒だと思うことに率先して取り組む人は、どんな人よりかっこいい。そんな人になれるよう、今日も私はレジ袋を片手に散歩するのだ。
平成29年7月1日付け朝刊より抜粋
永松依里耶さん(作業療法学科1年)「思いやり持ち小さな幸せを」
私は趣味のカメラでアジサイを撮りに出かけた。歩いていると目の前に老夫婦が現れた。「とてもきれいだ。おばあさんと一緒に写真を撮ろう」おばあさんは照れくさそうにアジサイの横にならんだ。「うん。上手に撮れた。さぁ、行こう。」また二人は歩き出した。私は、この老夫婦を見て、このような老夫婦になりたいと強く思った。普段の中で見つける小さな幸せ。ゆとりを持った生活を送り、思いやる気持ちがあると、小さな幸せを見つけ、つかむことができそうだと思う。人は、すぐに変わることができない生き物である。だからこそ、ゆっくりと時間をかけ、老人になった時に今日見た老夫婦のようになりたいと思った。
平成29年7月2日付け朝刊より抜粋
松本ほのかさん(作業療法学科1年)「青空に一直線 走る飛行機雲」
「お姉ちゃん見て!」。妹がまた私を呼ぶ。「はいはい」と受け流す私。「ほら見てよ!飛行機雲だよ!すごいよ、お姉ちゃん!」仕方なく空を見上げた私はあっけにとられた。本当にきれいだった。真っ青な空に一直線に走る飛行機雲。なんだか久しぶりに心から「きれいだな」と思えた。4月から新しい生活が始まり、慣れることに必死で空を見上げる余裕なんてなかった。妹は生活の中で美しさを発見し感動できるなんて本当に幸せ者だなと思った。いつから小さな幸せにも気づけない悲しい人間になってしまった。そんなことを考えていると、目をキラキラ輝かせて妹が聞く。「あの雲、何に見える?」「ん~ワニの親子?」妹から「私も同じ!」の一言。ああ、自分は悲しい人間なんかじゃないんだと安心した。妹よ、ありがとう。
平成29年7月3日付け朝刊より抜粋
皆さん、これらの文を読まれてどのような感想を持ちましたか。私は、何気ない日常の中で、若者らしい感動を見つけていることに、さわやかさを感じることができました。
本文は校長室前の掲示板に掲示しています。