恕のたより vol.29

「熊本県立天草青年の家での宿泊研修で1年生が白衣授与式」

先週の12日(水)から14日(金)にかけて上天草市の「熊本県立天草青年の家」において、本学理学療法学科・作業療法学科1年生の宿泊研修が行われました。

熊本駅をバスで出発し、途中下車し、約2キロにわたるペーロン漕艇を経験して目的の青年の家に到着しました。

入所式を済ませて、ナイトセミナー、特別講義、グループワークなど多彩な研修が用意され、学生諸君も積極的に参加しました。

最終日には、締めくくりとして「白衣授与式」が行われました。式では学科長から「白衣」を緊張した面持ちで受け取り、決意を新たにした雰囲気が窺えました。

私も式辞を述べましたので、概要を掲載します。

 式辞

 第10期生の皆さん、白衣授与おめでとうございます。
白衣授与式は、白衣の授与を通じて、セラピストに対する強い自覚と決意を促すという、セラピストを目指す者にとって、意義ある通過儀礼であります。今、皆さんの姿を見ていますと、自らの進むべき道をしっかりと見定め、自信に満ちあふれた雰囲気が漂ってきます。
本学院では、「愛と和」の教育理念のもと、リハビリテーション医療を通じて、医療、保健、福祉の分野に貢献するとともに、人間愛に基づいた深い素養と確かな技術に裏打ちされた質の高いセラピストの養成を目指しています。
皆さんにとって、今日という日は、これまでの学んだ知識をもとに、病院などでの本格的な臨床実習に取り組んでいくという、新たな決意の日になります。
この晴れの門出にあたり、私の所感の一端を述べて激励の言葉といたします。
リハビリ医療は「リハビリ・マインド」を持っておくべきだと云われている。それを3つの側面から云うと、1つ目は、「障害を診る心を持つ」こと。2つ目は、「在宅での生活はどうあるべきか」ということや「生活の場として施設を利用する場合にはどうあるべきか」といった「障害者の社会復帰・社会参加をめざす」ことを心がけなければならないこと。3つ目は、チーム全体の総合力が患者さんに障害を克服する力を与えており、「チームを大事にする」ことです。
言い換えれば、患者さまの機能回復、さらに社会復帰・社会参加への道をめざすために、コミュニケーションなど様々な手段を通じて、患者さんをしっかりと観察し、深い洞察力のもと、回復のための計画を立て、チームとして実践していくことが必要であるということであります。
皆さんもわかっているとおり、セラピストは、人生をあきらめかけた人間から、人生をよりよく生きる人間に変えるという、崇高ですばらしい職業であります。
だからこそ、皆さんがこれから一人前のセラピストになるまでの道のりは、決して平坦なものではありません。一人前のセラピストになるには、多くの試練が待ちかまえています。しかし、苦難をのり越えて、到達する道であるからこそ、尊くて価値があるのです。皆さんが、本日の白衣授与式を、大切な区切りとして、本学院に所属している自分自身に自信と誇りを強く持ち、セラピストの職務の重要性をしっかりと認識し、愛と和の心を持ち続け、自己実現を図ってくれることを期待しています。

恕のたより vol.28

学校長通信「恕のたより」-第28号- 学校長 高野 茂

今年も、本学の一年生の書いた文が「熊本日日新聞」の「読者の広場」の若者コーナーに掲載されました。以下、要約文を紹介します。

 永石麗乃さん(作業療法学科1年)「面倒なことに率先取り組む」

散歩に出かけ、多くの人と出会った中で、気になる人がいた。その方はレジ袋を片手に落ちているゴミを拾いながら歩いていた。その様子を見ていて今までの自分を恥ずかしいと感じた。そして、私はあることに気付いた。人が見て見ぬふりをすることや面倒に思うことを率先してやってくれる人がいるおかげで、快適な日々を過ごせているのだ。感謝しなければならないと思った。同時に自分自身もそんな存在になりたいと強く思った。誰もが面倒だと思うことに率先して取り組む人は、どんな人よりかっこいい。そんな人になれるよう、今日も私はレジ袋を片手に散歩するのだ。

平成29年7月1日付け朝刊より抜粋

 

 永松依里耶さん(作業療法学科1年)「思いやり持ち小さな幸せを」

 

私は趣味のカメラでアジサイを撮りに出かけた。歩いていると目の前に老夫婦が現れた。「とてもきれいだ。おばあさんと一緒に写真を撮ろう」おばあさんは照れくさそうにアジサイの横にならんだ。「うん。上手に撮れた。さぁ、行こう。」また二人は歩き出した。私は、この老夫婦を見て、このような老夫婦になりたいと強く思った。普段の中で見つける小さな幸せ。ゆとりを持った生活を送り、思いやる気持ちがあると、小さな幸せを見つけ、つかむことができそうだと思う。人は、すぐに変わることができない生き物である。だからこそ、ゆっくりと時間をかけ、老人になった時に今日見た老夫婦のようになりたいと思った。
平成29年7月2日付け朝刊より抜粋

 

 松本ほのかさん(作業療法学科1年)「青空に一直線 走る飛行機雲」

「お姉ちゃん見て!」。妹がまた私を呼ぶ。「はいはい」と受け流す私。「ほら見てよ!飛行機雲だよ!すごいよ、お姉ちゃん!」仕方なく空を見上げた私はあっけにとられた。本当にきれいだった。真っ青な空に一直線に走る飛行機雲。なんだか久しぶりに心から「きれいだな」と思えた。4月から新しい生活が始まり、慣れることに必死で空を見上げる余裕なんてなかった。妹は生活の中で美しさを発見し感動できるなんて本当に幸せ者だなと思った。いつから小さな幸せにも気づけない悲しい人間になってしまった。そんなことを考えていると、目をキラキラ輝かせて妹が聞く。「あの雲、何に見える?」「ん~ワニの親子?」妹から「私も同じ!」の一言。ああ、自分は悲しい人間なんかじゃないんだと安心した。妹よ、ありがとう。
平成29年7月3日付け朝刊より抜粋
皆さん、これらの文を読まれてどのような感想を持ちましたか。私は、何気ない日常の中で、若者らしい感動を見つけていることに、さわやかさを感じることができました。
本文は校長室前の掲示板に掲示しています。